最近、フィラメント詰まりが発生したため、また分解掃除をしました。
すると、なぜか、フィラメントの吐出量が少なく、やたら細いフィラメントしか出てこなくなりました。
そのため、できあがる造形物はスポンジのようにスカスカで、簡単に握り潰せるくらいの脆さの物しかできません。
いろいろ、実験した結果、推測を含めてわかったことをメモしておこうと思います。
まず、「フィラメント スカスカ」で検索したのですが、ほとんど情報がなく、吐出力が少ないことから、これもフィラメント詰まりの一種だろうと推測し、「フィラメント 詰まり」で検索すると、いろいろ出てきました。da vinci以外の3Dプリンタユーザの情報も参考にしています。
da vinci 1.0のエクストールダは、ヒーターが付いている「エクストルーダヘッド」と、フィラメントをヘッドに導く「導入管」から構成されています。今回の症状は、ヘッドの詰まりではなく、なぜか、図の矢印部分、導入管内部にドーナツ状にフィラメントが詰まり、フィラメントの通り道が狭くなることで、吐出量が少なくなっていました。
このため、ポイントは、この導入管のドーナツ状のフィラメント詰まりをどうしたら防ぐことができるか? という点になります。
先駆者の方々のblogから、以下のような対策が考えれることがわかりました。
それぞれ試してみたところ、実際に効果があったのは、温度設定を下げることでした。
- 導入管とフィラメントにサラダオイルを塗る
- 導入管とフィラメントにシリコンスプレーをかける
この二つは、導入管に詰まりそうになった時に滑りやすくして詰まりを防ぐ目的です。今回使ったda vinci 1.0では効果なく、やはりドーナツが詰まりが発生します。
- 導入管とヘッドの間に隙間ができないようにシリコングリスを塗る
- 導入管とヘッドの間に隙間ができないようにワッシャーを挟む
この二つは、ヘッドに切れているネジが途中までで、導入管とヘッドの間に隙間ができ、そこにフィラメントが詰まることで、熱伝導を阻害し詰まるので、それをあらかじめ塞いで、熱伝導率の低下を防ぐことが狙いです。しかし、これも特に目立った効果はなく、ドーナツ詰まりは発生しました。
- 導入管の熱伝導を高めるために、導入管とヒートシンクにシリコングリスを塗る
導入管内でフィラメントが柔らかくなり詰まると考えられるため、導入管をできるだけ冷やし、フィラメントが柔らかくなるのを防ぐ目的でしたが、特に効果なしでした。
- エクストルーダ設定温度を上げる
これは、導入管内でも溶けて流れ出るようにと考えましたが、単に詰まる量が増えただけでした。
- エクストルーダ設定温度を下げる
最終的に結局効果があったのは、温度を下げることでした。
温度設定の変更は、YouTubeで公開されているda vinciフィラメントリセッターを用いて、カートリッジの温度設定を変更して使用しました。ファームウェアのバージョンによっては、フィラメントリセッターが使えないので注意が必要です。
今回は、サインスマートの1.75mm黒ABSで試していますが、温度設定は185度です。
動作した理由を推測ですが、ヘッドを掃除する際に、温度センサーを取り外しました。
この温度センサーは、粘着剤でヘッドに固定されていましたが、これが熱伝導も兼ねていたと考えています。
これを外してしまったため、再度シリコングリスを充填して取り付けましたが、ただしい温度がとれていないのではないかと想定しています。
このため、必要以上にヒーターが過熱し、導入管まであたためた結果、導入管内のフィラメントも柔らかくなり、フィラメント押し出しと同時に中途半場な硬さのフィラメントが導入管に残留してしまったのだと思います。
これを、温度設定を低くすることで、本来の導入管内では溶けず、ヘッダでのみ溶ける状態にできた、という事と考えています。
ただし、これだけでは説明できない症状として、造形物の収縮が以前より激しいことがありました。
ベッドから5mm程度の領域だけ収縮がはげしく、円筒を印刷したとしてもくびれができてしまうのです。
こちらについては、試行錯誤の結果、ベッド温度を下げると改善することがわかりました。
今回の場合は、75度で印刷しています。この場合、収縮はほどんどみられなくなり、造形品質が向上しました。
ただし、温度を下げたためか、積層間の接着が以前より弱い感じがしています。ある程度面積がある場合は、大丈夫ですが、0.5mm厚の壁を垂直に印刷して行く場合などは、造形後、ベッドからはがす際に、積層が割れる場合がありました。
このため、薄い造形の場合は、印刷後に、アセトンを塗って溶接補強するようにしています。
ヘッド掃除用ピンの作成
クリップを鋭角に曲げて、先端をニッパーで切り、極小のかぎ爪を作成します。
ヘッダをアセトンに漬けて、詰まったフィラメントが柔らかくなったところで、このかぎ爪で詰まったフィラメントを掻き出します。