[2010/10/12] ADF付きFAXスキャナでiPad用PDFを自炊する

最近iPadの登場で、自分で書籍をPDF化する人が増えているそうな。それには、手間をできるだけ省くために、両面同時スキャンが可能なドキュメントリーダーが売れているとのこと。確かに、速そうですが、私の場合は、PDFしたい書籍が限られているので、ドキュメントリーダーの出費に躊躇していました。ふと、部屋の掃除をしていると、昔使っていたFAX/スキャナ/プリンタの複合機が目に入りました。キヤノンのMultiPASS B-25という機種です。この機種は、最近の安価な複合機にはないADF(オートドキュメントフィーダ)が付いています。片面とはいえ、最大20枚一度に読み込めるので、これを使えば、十分自炊可能ではないかと思い試してみました。
やり方としては、以下の手順になります。

  1. スキャン

    • 最初に紙質の見極めが必要です。滑りの悪い紙、例えば、漫画週刊誌のような紙の場合、ADFで複数ページの巻き込みを起こし、一括読み取りに向きません。巻き込んだページを別途再読込、ページの並べ直しが発生し、相当な手間が増えるので、おすすめできません。良質な紙でも、しっかり乾燥している事と、紙さばきをして、十分に空気を含ませて実行するのが吉です。慣れるまでは、上質でページ間のすぺりが良い本で試すと良いと思います。
    • 本をカッターナイフで裁断。裁断機がなくても、カッターマットがあれば、定規にそって普通のカッターで繰り返し切れば、ものの一分程度で150ページくらいの新書はカットできました。なお、一度に150ページまとめてカッターでなぞると、厚みの性でカッターの刃が垂直にならず、下の方の紙は斜めにカットされてしまいます。このため、数十ページ切れたら、切れた紙を取り除きながら、切ったほうが良いです。本も残しておきたい人は、表紙+背表紙+裏表紙は、つなげたままで、本文だけ裁断すると、あとで、木工用ボンドで、本として再生できます。そういえば、最近は、裁断本.comといった、裁断済みの書籍を売買するサイトもあるようです。
    • スキャナ付属のソフトで、20枚ずつにわけ、スキャンします。片面ずつなので、ひとつの束で、奇数ページと偶数ページのファイルができます。この時、今回使ったMultiPASS B-25は、紙の大きさを1/100mm単位で指定できるので、裁断したページの大きさを測って、その値を入れておきます。そうすると、あとで大きさ調整する手間が省けます。

  2. jpegで出力

    • 全てのスキャンが終了したら、ファイルをjpgでエクスポートします。この時、B-25付属のソフトでは、ファイル名にプリフィックスが付けられるので、あとで並べ替えるために、1束目の奇数ページにはa1、2束目の奇数ページにはa2というふうにプリフィックスをつけてエクスポートします。偶数ページは最後の束から逆順でb1,b2とふっていきます。これは、偶数面は裏返しでスキャンするため、ページ順が逆になっているためです。例えば4つの束がある場合は、1束目は、奇数がa1、偶数がb4になり、4束目は、奇数がa4、偶数がb1になります。以上のようにして、全てjpgに変換します。

  3. リネーム

    • 一括リネームソフトを使って、これを連番に直します。今回は、フリーソフトのFlexible Renamerを使いました。
    • まず、a1_xxxx.jpgのxxxxの数字が、桁が一定でないため、1,10,2,20といった順に並んでしまうので、[数値の整理]の機能をつかって、3桁程度の数字として桁揃えをします。
    • つぎに、奇数ページだけ連番にします。フィルタで、[a?_*.jpg]とすると、奇数ページのファイルだけが選択できるので、その状態で、[連番や文字列の追加]の中の[文字列(日時)+連番]を選択し、桁数を3にしておきます。この状態だと奇数ページなのに、001,002,003...と振られたしまうので、[高度なリネーム]をチェックします。すると、下の方に、増分指定がでてきますので、これを2にします。すると、001,003,005...と奇数にリネームすることができます。この結果、一回のリネームで、奇数ページは、めでたくページ番号がファイル名になります。
    • つぎに、同様に偶数ページのリネームをします。フィルタは、[b?_*.jpg]にして、今度は、奇数ページの最終番号+1を開始番号にします。増加数は、-2にします。すると、今度は、150,148,146...といったように、リネームされ、正しく前ページ読み込まれていれば、最終ページは、002になるハズです。
    • 奇数ページと偶数ページのリネームが終了すると、ファイル名順で全てのページが正しい順番になります。

  4. jpgをPDFに変換。

    • jpgをまとめてひとつのPDFに変換します。今回はフリーソフトのjpg2pdfを使いました。
      このソフトは、起動した画面に、まとめて選択したjpgをドラッグ&ドロップするだけで、PDFを作成できます。OCR機能は無いので、透明テキストはありませんから、検索はできませんが、本を読みたいだけなら、十分です。


生成されるPDFファイルは、画像形式なので、スキャナの吐き出す画像ファイルのサイズで大きさが変わります。小説など黒一色の本は、白黒2値でスキャンすると、かなり容量を抑える事ができます。ちなみに、白黒2値の場合は、jpgよりtiffの方がファイルサイズが小さくなりました。iPadはtiff形式などにも対応しているので、tiffをPDF化してもOKです。前述のjpg2pdfは、tiffについては言及されていませんが、試しに変換してみたPDFファイルは、iPadで読むことができました。

自炊時間ですが、150ページの本だと1時間くらいかかりました。ただ、スキャンしている最中は別な事ができますので、居間でテレビでも見ながらやれば、それほど気になりません。片面ADFだと、手間は2倍かかりますが、大量に変換するのでなければ、中古のADF付きFAXスキャナでも十分なものができました。昔の機材が眠っている人は、追加投資なしでできるので、試してみてはいかがでしょうか。

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